00/6/26(月)

八達嶺長城への中国人向けツアーに参加/旅は道づれ世は情け

 昨日は遅くに到着であったためよく眠れなかったが、今日の目標は万里の長城のうちメジャーな八達嶺へ行くことである。このため早く起き、出発することにした。そのためには前門から多く出ているツアーに参加するのが簡単であると聞き、地下鉄で前門へ向かうことにした。ホテルを出て歩道橋を渡るとラッシュアワーで車であふれていた。確かに自転車もいるが、自転車があふれる通勤風景というのは北京ではもはや過去のもののようだ。


建国門大街の通勤風景

一番左のレーンを自転車が走っているのがわかる。向かって左のレーンが多いのは市中心へ向かう車のためだ。

 前門まで地下鉄で行き出口を出ると早速客引きが寄ってくる。八達嶺長城、明十三陵、そして宝石加工の実演販売をするところの3箇所で20元というものだった。このツアーに決め客引きのおばあさんに連れられてバスへ向かう。(現実には明十三陵の入場料や昼食代として加えて100元取られた。ただ、これが普通だと日本で聞いていたので。)
 バスはおんぼろ非冷房のマイクロバスだったが既に乗客でいっぱいで、僕がバスに乗って程無くしてバスは出発した。僕だけ日本人ということは皆わかっていていろいろ世話を焼いてくれるのがありがたい。学生か?とガイドさんが聞くので違う働いている。29歳だと答えると笑っていた。(このとき中国語の読書が”学校で勉強する”、つまり”学生である。”の意味があることを知った。)
 バスは高速道路を走り2時間も走っただろうか。最初の目的地”八達嶺長城”へ向かった。八達嶺長城は万里の長城の中でももっともメジャーな場所である。さすがにガイドさんの中国語を全部理解するのは不可能だったので
「我想知道出発時間!」
というとガイドさんは僕のメモ帳に出発時刻と車のナンバーを書いてくれた。
 入場料を払ってバスがやってきた方向から向かって右側の長城に登ることにする。階段は強烈に急なもので、心臓破りだ。まるで日本の城にあるようなものであった。もし足を滑らしたらどうなるかわかったものではない。
 登り終えるとそこから雄大な景色を望むことが出来た。長城は尾根を連なりはるか彼方まで連なる。その距離は6千kmに及ぶというからまさに想像を絶する。稚内から鹿児島までの距離だってそこまではないであろうし…。


八達嶺長城 急な階段が延々と続く[左] 長城ははるか彼方まで続く。観光客も多い[右]

 途中で10元払って長城に登った証明書と記念メダルを買う。名前を書いてくれというので書くと、”日本人か?”と聞かれた。名前はメダルに掘り込んでくれた。
 登ったら降りるしかない。降りてくるとかわいい小姐がTシャツを売っているので買うことにする。値段が書いてないので交渉しようとすると隣のおやじが割って入ってきて1着40元だという。明らかに高いので”2着で40元でどうだ?”と聞くと”45元”という。そこでひるまずもう一度”40元”というとならそれでいいということになった。
 バスの駐車場まで帰ってきて食堂で蘭州拉麺を食べる。いまいちだ。食べていると向かいの若いカップルの男のほうが中国語でいろいろ話してきたので、デジカメの写真を見せながらいろいろと雑談をした。


僕にはいまいちだった蘭州拉麺

 トイレに入り出店の前をあるくと中から盛んに声をかけてくる。客引きかと思っているとツアーのガイドさんが呼んでいるのだった。つまり外は暑いので中で休んでいるのだった。そこでも少しばかり中国語でいろいろと雑談をした。

 出発時間になったのでバスに戻るも、数人戻っていなかった。程なくして遅れて帰ってきた。バスは出発し、罰ゲームなのか遅れてきた人にマイクを渡し歌を歌わせているようだった。そうしてまわしているうちに、あなたも歌いなさいと僕にもマイクが渡される。最初、”不可以!(できないよ)”と拒んでいたのだが、結局歌うことに。皆、民謡みたいなのを歌っていたので、”ふるさと”を歌うことにする。しかし、中国まで来て日本の歌を歌うことになろうとは…。僕が歌い終わると一同拍手となった。

 次の目的地は宝石の加工実演を見られる宝石店だった。いろいろな宝石が展示されており、また本物、偽物の違いを実演して見せてくれたりする。実演が終わるとショッピングタイムとなった。(なんとなく旅行社が店からリベートをもらっている?)しかし、今や中国人も金持ちだ。財布から1500元(約2万円弱)とか出して買っている。ツアーに参加している若い女性(多分大学生)が、”あなたは買わないの?”と聞くので

我不是富翁。日本人不是富翁。但是現在中国人是富翁。(僕は金持ちじゃないよ。日本人は金持ちじゃない。でも中国人は今や金持ちだね。)

というと"No no no"と笑っていた。そういやガイドさんにもお母さんに買ってあげたら何て言われたっけ。
 建物を出るとツアーのみんなが日陰で休んでいた。そして僕だとわかるとこっちへ来なさいと手招きしてくれる。皆、雑談していたが、”ここはコーラが50元(600円)もする全く信じられん。”といった話をしていた。確かに市価の20倍だなそりゃ。

 バスは出発し最後の目的地”明十三陵”へ向かう。バスはレストランの前に停車しまず昼食だ。料理は以下のとおり。多分それなりのご馳走だと思う。僕が”吃飽了(おなかいっぱいです)”というまで、”これはどう?””じゃあこれは”といった感じで気を使って世話を焼いてくれるのだった。


円卓を囲んで食べた昼食。(ちょっと撮影アングルがよくないが…)

 食事が終わるとガイドさんが一行を引き連れて明十三陵へ向かう。周りは農園ですももをたくさん売っている。到着するとまず、その敷地内にある中日東洋医学研究所(正確な名前は失念)に案内された。教授の名札をつけた人がなんだか公演をしてくれた。(中身はもちろんわからなかったが)その後診て欲しい人は手を挙げてということで多くの人が診断を受けていた。診断料(正確には調剤料)はかなり高そう。両側にお礼の手紙などが貼ってある。当然のように日本人のもあって、”いつもありがとうございます。2万円振り込みましたのでまたいつもの薬をお願いします。”なんてのもあった。すご過ぎる…。日本の民間療法並ではないか…。
 その後、前の広場で解散となり出発時間までにさっきのレストランへ戻ってきてくれとの事。

在餐庁有汽車 出発時間是xx:xx ma?

と場所と時間を確認すると、ガイドさん英語で教えてくれた。あなた英語なら一発で通じるのねえというので。中国語は半年ぐらいしか勉強していないけど、英語は八年勉強したからと答えると頷いていた。
 こんなやり取りをしているとツアーのおばさんが声をかけてきてそれじゃあ一緒に行きましょうとの事。この人自分の息子(15歳ぐらい?)と一緒に杭州に参加されている方でそれまでもいろいろと世話を焼いてくださった方だった。結局このおばさんたちとまわることにした。息子さんも感じのいい人でミネラルウオーターを買おうとすればこそっと”ここは高いよ”とか教えてくれる。息子さんは格好も垢抜けていた。お金持ちなのだろうか。
 こうして地下宮殿などを回った。


明十三陵のうち定陵は博物館になっている。地下宮殿が有名[左] 一望するとこんな感じ[右]

 時間も時間なので皆で引き返す。途中”すもも”をいっぱい売っているのだが、一緒に行ったおばさんが一袋買って僕にも何個か分けてくれた。甘くてみずみずしくておいしかった。これはお勧めです。
 こうして、ツアーは終わり鼓大楼駅あたりでおろされた。夕方で渋滞が激しいからだろう。そのまま地下鉄に乗り、親切なおばさんたちとも前門で別れた。中国人のツアーに参加して本当によかったと思う。これが、英語や日本語のツアーだったら中国人と直接触れ合う機会はないからだ。実際参加した中国人は皆、親切にしてくれて気持ちよくツアーを終えることが出来た。”旅は道づれ世は情け”というが、中国でこのことわざの意味を体験するとは思わなかったのだが。

 この後、ホテルに戻って仕切りなおした後、夕食を食べに地下鉄で王府井へ向かう。北京の繁華街”王府井”は思ったよりはるかにきれいで垢抜けていた。下手な日本の都市よりはるかにきれいだ。どうやら建国50周年の式典にあわせてあちこち整備したようだが。ごみもぜんぜん落ちていないのだ。


夕闇の王府井(綺麗な街並みが印象的)[左]  王府井のショッピングセンター(これまた結構垢抜けている。)[右]

 夕食は”韮菜水餃”という餃子をショッピングセンターにある食堂で食べた。夏ばて気味で食欲がなかったがおいしかった。半斤(250g)食べることになるがものすごい量。


韮菜水餃(半斤=250g)

 せっかく王府井まで来たのだからと地下鉄で一駅分の天安門まで歩くことにする。しかしこれが大変で北京という街なんでも大きいのだ。一つの建物の区画が200mとか平気である。道路も幅は100mぐらいありそう。もちろん名古屋の100m道路のように中央に公園があるわけでも高速道路の橋脚があるわけでもないのだが。
 天安門はライトアップされ、毛沢東の写真も浮かび上がっていた。


闇夜に浮かぶ天安門中華人民共和国万歳世界人民代団結万歳とある[左]  対面の天安門広場[右]

 こうして一日が終わった。疲れた疲れた…。