2005年5月6日 

ヴァッハウ渓谷へ

 今日はドナウ川を下る船下りでヴァッハウ渓谷を観光する予定。朝食を食べていると時間がないのと、昨日の夕方くらいからあまりお腹の調子が良くなかったので、朝食は抜くことにした。ヴァッハウ渓谷を下る船はメルクという田舎街から乗る。まずはメルクに行くわけだが、メルクは優等列車が止まらないので、ザンクトペルテンで乗り換えることになる。
 近郊列車と地下鉄を乗り継いで西駅へ向かい、メルクまでの列車の切符を買う。メルクまで83kmで12.9ユーロだ。あらかじめ調べておいた時刻だと、7:34発があるのだが、それよりも前の時刻の7:30発スイスのチューリッヒ行きもザンクトペルテンに停車するようだ。まあ、数分の差でしかないのだが。それで結局このチューリッヒ行きに乗ることにした。


チューリッヒ行きのEC160特急

 おもしろいことに列車には名前(愛称)が付いていて、私が乗ったのは「マリアテレジア」。車内に到着時刻と乗り換え案内、さらに、マリアテレジアの解説が書かれたチラシが置かれていた(ドイツ語オンリー)。
 列車は定刻通りに出発。またしても車内はがらがらだ。途中遅れて、サンクトペルテンには10分ほどの遅れで到着した。メルク行きのローカル列車をすぐに見つけて乗り換えた。実は、8:24発の列車は2つあるので注意が必要である。このローカル列車は発車時刻になっても発車しなかった。それもそのはず、本来乗ってくるはずだったIC列車がまだ到着していない。同じ線路を走るのであろうし、優等列車であるこの列車を先に通さない限り、後発予定のローカル列車は発車できないだろう。まもなくして遅れているこの列車が到着して程なくして、ローカル列車は発車した。


ローカル列車に乗り換え

 困ったのがいつ降りるかである。もちろんメルクで降りることは分かっているのだが、時刻表を持っているわけでもないので、どの辺りを走っているのか全く分からないのだ。結局、到着予定時刻に出発時の遅れ時間を足して、メルク到着を予想するしかなかった。しかし、結局問題なくメルクで降りることができた。


メルク駅 ローカル駅だ

 この後、ガイドブックに沿って修道院へ向かう。修道院は小高い丘の上でよく見えるので場所は分かるのだが、どこからそこへ登るのかよく分からない。なんとなく、東から登れそうなので地図に沿って向かう。途中クラシックカーレースのような催しが行われていた。


クラシックカーレース。街中をクラシックカーで走る催しのようだ

 その後、修道院の東側へ登る道を見つけて無事修道院に到着した。


世界遺産の碑 修道院はヴァッハウ渓谷を代表する建造物と言うことか[左] 修道院の中庭[右]

 入場券を購入して中を回る。結構大きな修道院というか、修道院へ来たのはこれが始めてかも知れない。しかし、この田舎町では一番大きな建物ではないだろうか。


修道院のバルコニーからメルクの街を望む


修道院の内部

 足早に一通り見終わった後に修道院を後にして、船着き場へ向かうことにした。事前情報として船着き場まで歩くと20分ほどかかると言うことだったからだ。道に迷うことも考えられるし船は頻繁にはないので余裕を見ることにしたのだった。
 地図とあらかじめ聞いておいた情報で船着き場に向かうと、船着き場は見つかった。既にフェリーは停泊しているようだった。


ヴァッハウ渓谷下りの船

 しばらく待って乗船券を買い船に乗り込んだ。少し薄着すぎたようで待っている間寒かった…。
 船の中はちょうどレストランのようなテーブルと椅子が並んでいて、当初間違ってレストランのエリアに入り込んだと思ったのだが、それが客席だった。もちろんの見物や食べ物を頼むこともできる。


ヴァッハウ渓谷の景色 天気が悪かったのでドナウ川の色が悪いが…

 途中見所に差し掛かる度に各種の言葉で案内してくれる。日本語もあったが最後なので、半分通り過ぎているというのが残念だが。こうして途中にシュピッツを経由したあとにデュルンシュタインに到着した。ここで船を下りる。
 ここはメルクよりさらに小さな街だ。


デュルンシュタインの街並み


デュルンシュタインの街を望む。青いのが聖堂参事会修道院教会

 さらに小高い丘を登ってケーンリンガー城址へ向かった。結構疲れる。


ケーリンガー城址[左]とそこから望むドナウ川河畔[右]

 その後丘から降りて駅の方へ向かう。とりあえず駅を確認しておこうと思ったからだ。途中ブドウ畑が広がっていた。


ブドウ畑と民家

 駅まで行くと見事に無人駅。駅舎だけがある。次の列車までまだかなりあったので昼食を食べることにした。少し戻ったところにレストランがあったので入った。客は地元の人と思われる客が2グループ。私が入っていくと、ちょっと視線を感じる。やはり田舎町の人にとって見れば、東洋人は珍しいのだろう。ヨーロッパを旅行しているとたまに出会う状況だ。しかも入ったレストランが観光地から少しはずれているので、観光客というのは少ないと思われる。スパゲッティを頼む。程なくしてやってきたので、デジカメをスパゲッティに向けているとクスクスと笑い声が聞こえるが、無視して撮影。


背中に視線を感じながら撮影

 食事を終え支払いを済ませて駅へ向かうといるのは日本人の個人旅行者ばかり。皆地球の歩き方を参考に旅行しているからこうなるのだろう。定刻より少し前に列車が入ってくるがこれは反対方向の列車で、クレムスへ向かう列車はあとに来ると運転手が教えてくれた。


これは反対向きの列車。ディーゼルカーだ

 列車に乗ってクレムスに到着。クレムスで乗り換えてウィーンへ向かった。実は行きに乗ってきたのとは全く違う路線なのだ。行きはドナウ川の右岸側、帰りは左岸側の路線で、帰りの路線は完全にローカル列車だった。乗り換えた列車の中で車掌がやってきたので、ウィーンまでの切符を購入した。列車はフランツヨーゼフ駅というウイーン市内の駅行きだ。終着手前の駅で降りて地下鉄に乗り換えた。まだ時間が早いので、シュテファン教会に行ってみることにした。


ウィーンのど真ん中にそびえ立つシュテファン教会[左] ハプスブルク家の紋章である双頭の鷲[右]

 まさにそびえ立つという表現が適切な大きな教会だった。威圧するほどの存在感だ。屋根には友人から教えてもらった双頭の鷲のレリーフが見られる。ハプスブルク家の紋章だとのこと。


教会の前には観光客相手の馬車が[左] 教会の内部[右]

 このあと、日本語が使えるというインターネットカフェに向かい一時間ほどインターネットを楽しんだ。結構な額を取られた覚え。実はどうしてもホテルからインターネット接続できなかったので、このカフェで調べる事にした。なぜ接続できないか、だいたい原因は分かっていて、発信音検知をしないでダイヤルをする設定にするためのATコマンドを検索して無事完了。
 ホテルに戻り、近くのレストランで食事をすることにした。下町だけに安食堂でカードが使えないと言われたので慌ててお金を引き出してきて、再度席に腰掛けた。
 座っていると60歳くらいの男性が、向かい側の席は空いているか尋ねてきたので、OKする。彼が話しかけてきた。彼は既にリタイヤしたが、コンピュータハードウエアに関する物理学者だったそうだ。私に気を遣っているのか、それともそう言う話し方なのか、彼の英語はとてもゆっくりだ。彼とはいろいろと話をした。私もエンジニアの端くれで仕事の話も話す。
 しばらくすると、奥さんがやってこられて、店を後にされた。


スープとジャーマンポテト

 食べたのは以上。スープは比較的早く出てきたが、ジャーマンポテトは相当に待たされた。

ホテルに戻ってラウンジでアップルジュースを飲む。あまりお腹の調子が良くなかったので…。


アップルジュース

 これで今日も終わり。明日はいよいよウィーン市内の観光の予定だ。