2004年12月27日 

トン(侗)族の村へ

 朝起きて荷物をまとめてホテルをチェックアウトした。そして荷物を預かってもらうことにした。というのも今日の観光にどれだけの時間がかかるかわからないからだ。最悪もう一泊するのもいいだろうと考えてのことだった。
 歩いてバスターミナルまで向かい、近くの食堂で桂林米粉(ビーフン)を頼んで朝食とした。
 ちなみに三江にはバスターミナルが2つある。今日の観光で使う近郊の集落への便は街の中にある。このターミナルは建物もちゃんとしたものだ。一方桂林や龍勝など遠距離へ行くバスターミナルは街の中心から3-400m離れていて、橋を東へ渡り左[北]へ曲がったところにある。こちらは手元の地球の歩き方には載っていない。このターミナルには売店一つなかったし、吹きさらしで寒かった。


三江の中心 ズバリ田舎だ[左]    桂林米粉[右]

 まずは程陽風雨橋へ向かおうと、程陽までのバスチケットをカウンターで購入した。バスの行き先は林渓で、その手前で降りなければならないので、車掌に着いたら教えてくれるよう頼んでおいた。
 バスはほぼ定刻に出発し田舎の山道を走る。龍勝-三江間の道路よりはだいぶましで、20kmあまりの道を1時間かからずに到着した。バス通りから風雨橋入り口は分かり易かった。
 チケット売り場の方へ歩いていくと後ろから若い女性が声をかけてきた。どうやら同じバスに乗り合わせていたようだった。彼女の中国語が早口で聞き取れず、聞き返すと流暢な英語になった。彼女は上海人で同じく一人で観光に来ている。お互い一人なら一緒に回りませんかとの誘いだった。別に断る理由もないので二つ返事でOKし、チケットを買って中に入っていった。彼女はWさんといい、アメリカの大手フィルムメーカーに勤める女性だった。彼女の最初の質問は「ここはホットスポットではないのに、どうしてここへ来たの?」だった。
 Wさんは小柄なのに活発に動き回る。自分一人で回ったならここまで積極的に観光することもなかったかもしれない。
 程陽風雨橋のあたりは○○寨と名前が付く数個の集落からなっている。そして道は細く入り組んでいて、まるで迷路のようだった。入り口のチケット売り場や、橋で小物の土産物を売る人を除けば、全く観光地化されていないと言ってよい。昔ながらの生活をがそのまま残されている感じだ。集落のたたずまいには趣もあり、なかなかおすすめのスポットだと思う。
 こうしてWさんと一緒に2時間ほど集落を見て回った。一番奥に大寨という集落があるとのことだが、歩いて30分かかるというのでここまで行くのはあきらめ、また来た道を戻ることにした(どうやら大寨が一番見応えがある集落のようです。これは失敗。)。しかし、まるで迷路なので何度も道に迷った。途中川に丸太と岩で川が渡れるようになっているところがあったが、2人でちょっと苦労して渡りきり振り返ると、鞄を背負った複数の小学生がぴょんぴょんと渡ってくる。子供のかわいいしぐさに2人で顔を見合わせて大笑いした。


程陽風雨橋[左]  奥の方にあった集落の鼓楼[右]


あたりはのどかな農村だ[左] 程陽風雨橋を撮影するWさん[右]

 こうしてバスを降りた場所まで戻るとワンボックスカーがいて、三江という札を出している。これに乗り込んで三江まで戻ることにした。すると前列の2人も上海から来た観光客のようだった。
 三江の街に戻り、Wさんにどうする?と尋ねると食事をするというので付き合う。麺(詳細は失念)で昼食だ。


 昼食を食べながらいろいろなことをWさんと話した。気が付くと会話はすべて中国語になっていた。なんでもWさん、大阪に仕事で来たことがあるとの事だった。Wさんと会わなければ、ここまでじっくりと程陽の集落をみることをできなかった気がする。感謝だ。昼食後、彼女は旅館へ荷物を取りに行くというので別れた。
 ガイドブックには三江のスポットとしてはもう一つ馬胖鼓楼が載っているので、ここに行く事にした。バスがよく分からないので面包車(軽ワゴン)を借り切ることにした。三江ではタクシーは見なかったが、バスターミナル前には各地集落や駅などの地名を記した札を出して客待ちしている面包車がたくさん並んでいる。彼らの車をチャーターすることも実は可能なのだ。そこで交渉して70元で往復してもらうことにした。ちなみに馬胖までは片道30km程のようだ。
 道はこれまた龍勝-三江間程ではないが、それほどよいわけもなく、一時間近くを要したと思う。こうして馬胖に到着。馬胖の集落は特になんの変哲もない田舎の集落だった。ただ馬胖鼓楼があるだけといった感じだ。観光地化も全くされていないが特色もないのだ。正直、ここまで足を伸ばすくらいなら、程陽をもっとゆっくり見た方がよいと感じた。実はこの運転手はトン族で、地元の人とはトン族の言葉で話しているようだった。


馬胖鼓楼 外観[左]とその内部[右]

 一通り見終わったのでまた車に乗って来た道を引き返し、三江に戻った。ホテルに戻って、まだ龍勝までなら引き返せるかなあと考えて荷物をホテルまで取りに行きバスターミナルへ向かった。この時点ではまだ知らなかったので、街の中心にあるバスターミナルに行くと、橋を渡って別のターミナルへ行けと指示された。荷物もあることなのでバイタクで向かった。
 ターミナルには目当ての龍勝行きのバスは見あたらないし、すぐには来そうもない。待っているうちに5時になってしまった。仮に今バスが来て、龍勝へ向かったとしても到着は8時になってしまう。龍勝も田舎であるし、8時から宿探しなど考えたくもない。そこで、移動するのをあきらめ、今荷物を取りに行ったばかりの県人民政府招待所へ引き返し再度チェックインした。
 新たな部屋に通されるが、エアコンから冷たい空気しか出てこないようですったもんだ。結局温風が出てくるのに時間がかかるためだったらしい。日本のエアコンだと、準備ができるまでは風は出ない仕組みになっているが、中国のエアコンはそうでなかったため、もしかして壊れているのかと疑ってしまったのだった。
 また食事をしに街まで出るのも面倒なので、昨晩と同じくホテルの食堂で夕食をすませた。スープは昨晩と同じものを頼んだ。


麻婆茄子[左]とスープ[右]

 こうして一日を終えた。今日は停電しないなあと思ったら、就寝後真夜中に停電をした。当然エアコンも止まってしまう。電気は一時間ほどで復帰したが、エアコンは止まったままなので再度スイッチを入れに行った。こんな事をしているうちに眠れなくなってしまった。