02/7/29(月)

大草原の旅

 朝起きてとりあえずチェックアウトする。すると、ロビーに旅行社のカウンターがあった。そこで、大草原のツアーについて聞いてみた。ロビーに集まっている人たちは3日間のツアーに行くようだった。しかし、持っていた長袖のシャツでは寒すぎること、今からだと一人で参加となってしまうために高くなってしまうとのことだった。値段はともかく寒すぎるのは問題。泊まりで出かけるのはあきらめ、日帰りでどうかと聞いてみた。すると、車代、ガイド代もろもろ併せて(乗馬代除く)600元(約9000円)、しかもすぐにでも出発は可能とのこと。結局、これで決めた。ホテルに出入りしていたこの旅行社は昭君旅行社。カウンターにいたのは30代半ばぐらいの女性、李経理だった。彼女は日本語もそれなりに話せ、テキパキとアレンジする様はできる人という感じであった。言葉遣いも非常に丁寧だった。後で聞いたのだが、ガイドさんも李経理は凄い人と言っていた。
 程なくして到着したのはガイドの焦蕾さんと運転手(名前失念)。親分が丁寧なら部下もよくできた人で「這位是青木先生(こちらは青木さんです。)」のように運転手に紹介される。青木先生などと言われたのは多分初めてではなかろうか。ちなみに焦さんは蒙古族ではなく、満族(母親は漢民族)だとのこと。
 こうして、3人で車に乗っていざ大草原”希拉穆仁”へ出発した。

 フフホト市内から数十キロも行くと辺りは何もなくなってくる。木もないようだ。こうして市内より100km弱の”希拉穆仁”へは1時間半ほどで到着した。ところが目的のパオがわからない。と言うのもこの一帯あちこちに観光用のパオの集落が点在するが、なにせ大草原なので目印が少なくなかなか目的の場所へ到着できないようだった。看板も少ない。しかも、携帯も電波の状況から通じたり通じなかったりのようでなかなか大変そうだった。しばらく迷ってようやく目的のパオに到着した。
 パオに到着すると何やら点心のようなものがでてきた。お菓子といったっところか。もちろんモンゴル族特有の食べ物ばかり。ミルクティー(羊の乳?)は結構いけた。


モンゴル族特有の点心                   包

ちなみに、パオの外は大草原が広がる。


大草原

 雨が降ってきたので、パオでしばらく過ごすことになった。雨がやむと、乗馬に出かけた。初めての乗馬だ。最初は監督の兄ちゃんがロープを引っ張っての乗馬だ。しかし、馬が歩むごとに尻が痛む。倉が硬い上に自分が痩せているためだと思う。とにかく痛い。馬が早足で駆けると激痛が尻を襲った。尻が痛むので中腰になるも力がいる。なかなか大変だった。
 景色はまさに大草原。方向すらよく分からない。たまに羊飼いの群れに出会う。地形は結構凸凹があってあまり見通しが利かないところもある。しかし、ここに置き去りにされたら目印もなく到底目的地には行けそうもない。
 乗馬すること1時間あまり、モンゴル族の家庭に到着した。モンゴル族の衣装を借りて記念撮影をした。


モンゴル族の家族と記念撮影[左]            外はこんな感じ[右]

 曇ってはいるなあと思っていたが、見事に大雨が降ってきた。幸いモンゴル族の家で雨宿りし濡れずにすんだ。草原は天気の移り変わりが非常に速く、晴れているなあと思っていても急に曇ってきて雨が降り始めたりする。もし、同じように大草原ツアーに行かれる方がいたら、濡れてもいいような恰好で行くことをお勧めする。雨合羽を持っていくのもいいかもしれない。
 雨宿りしていると別の団体がやってきた。皆ずぶ濡れ。運が良かったようだ。彼らは湖南省の人だった。親父に「毛沢東の出身地だよね?」と話しかけると、「そうだ。張家界はいいぞ。」と言っていた。
 その後しばらく休むとまた雨がやんだので出発することにした。しかし既に2時間近くが経過している。当初3カ所を巡る予定だったが、ここで切り上げてもとの場所へ戻るようにした。正直疲れたこと、体中痛いこと、雨がまた降って来かねないことなどもそう決めた理由だ。まあ、初めての乗馬だし、ゆっくり行かざるをえなかった。仕方がない。距離を尋ねると出発地から4kmとの事だった。途中から、先導してもらっていたロープも離してもらい、まるっきり1人での乗馬となった。馬自身はおとなしいので、軽く走る程度ならそれほど乗りこなすのは難しくなかった。ただ、何度も言うがひたすら痛いのだけが苦痛だ。
 途中きれいな景色もあったのだが、残念ながら写真を撮る余裕はなかった。こうして3時間ちょっとの乗馬の旅は終わった。
 戻るとガイドの焦さんは食事せずに待っていてくれた。「どこへ行っちゃったのかなと思った。」と焦さんは言った。3時近かったしずいぶん待たせて悪いことをした。
 
 程なくして食事が始まった。モンゴル族の出迎えの儀式(歌や白酒を振る舞う)があったり、なかなかおもしろい。カイドの焦さんは、白酒の受け方の作法を教えてくれた。しかし、強くて(50度)僕にはとても飲めない。その後、焦さんが酒を受けていたが、結構飲んでいた。
 モンゴル族の食事は羊が主体、中華とはもちろん全く違う。個人的には結構いけた。ひょっとすると万人向け(観光客向け)にアレンジされているのかもしれない。


モンゴル族の食事 羊が主体        運転手さん[左]とガイドの焦さん[右]

 この後、パオで寝っ転がって休息となった。焦さんも言っていたが、パオの構造は日本家屋にちょっと似ていて、靴を脱いで畳のような所へ上がるようになっている。
 寝っ転がりながら、持ってきたPCで自分が書いた旅行記を焦さんに見せてあげた。焦さんに、「どこか行ってみたいところは?」と聞いてみると「上海か香港。」という若い中国人女性の典型的な答え?が返ってきた。
 この後、このパオを経営している主人を加えて4人で帰ることになった。運転手さんがこの主人と友達で一緒に乗っていっていいかと聞かれたのでOKした。街まで送るようだった。
 こうして日帰り大草原ツアーは終わった。日帰りでしかも最も近い草原へのツアーとなってしまったが、中身は濃い物だった。負け惜しみを言えば曇りがちだったので一晩泊まっても星空は眺められなかっただろう。

 こうして運転手さんとカイドの焦さんと別れ、まず切符を買いに駅へ行った。明日、大同まで行くためだ。事前に調べておいた朝のローカル列車で行くことにした。無事硬座の切符が買えた。この後夕食に向かった。

 
麺と杭州小籠包

 最初軽く麺を食べたが、杭州小籠包の店を見つけてこれも食べてみた。前、上海で食べたときの物より大きいと感じた。ほとんど饅頭(マントウ)だ。こうしてホテルに戻り1日を終えた。明日は半日列車の旅だ。