'04/2/21 台北へ

 可愛的台湾...。自分としては台湾のイメージはこんなだ。可愛を中日辞典で調べてみると日本語の”かわいい”よりも意味が広く、かわいいに加えて愛すべき、慕うべきという意味も載っている。実際、”可愛的祖国”なんて例まで載っている。実際台湾というのは愛すべきところだと思う。なぜか…。台北の街を眺めると何とも垢抜けない。なんだか、20-30年前の日本にタイムスリップしたような景観だ。正直、最近成長著しい上海など大陸の大都市の方がよっぽど垢抜けているなあと感じることも多い。でも、台湾には他に負けない人情味があるのではないかと感じることが多い。しかもその人情味が日本人が描く古き良き時代の日本人の人情味に近い気がするのだ。古ぼけた(ちょっと失礼か?)景色と人情味。そんなところに台湾の魅力はあるのではないだろうか。そして頭に浮かんだのが”可愛的台湾”だった。
 前置きが長くなった。今回の旅行期間は4日。自ずと行ける場所は限られてきて、最近訪れていない(約2年ぶり)台北を中心に計画を立てることにしたのだった。
 今回はCX(キャセイ)の台湾便を使っての台北旅行。キャセイの台北便は名古屋を夕方発と言うこともあって値段が安い。今は閑散期だからなおさらだ。あまり総額をかけたくなかったのでこのキャセイで出かけることにした。機材はAirbus A330でエコノミーも液晶モニターが装備されていた。もっとも最近は驚くほどでもないのだが、最近どうも中国系キャリアを利用することが多かったので…。
 で、機内食だが自分のところには最後に順番が回ってきて「ごめんなさい、豚とスペシャルベジタリアンしかないんですが。」とのこと。まあ、別に最初から豚で行こうと思っていたので問題はないのだが。ちなみに、狂牛病と鶏インフルエンザの影響で行き帰りとも魚か豚の選択肢しかなかった。仮に豚にも問題が起こったら魚だけになるのだろうか。


豚の機内食

 こうして台北時間の19時頃に到着した。予定時刻よりも30分ほど早着だった。
 いつもだと国光号に乗って台北駅へ出るのだが、今回泊まるホテルは中山北路にあって、大有バスの空港西線の方が便利そうであるのでこっちに乗ることにする。いつもの国光号より10元(約30円)ほど安い。バスが来たので乗り込むと乗客は自分を含めてたったの2名だった。ちなみにもう1人は若い女性だった。最初携帯で日本語で話していたので日本人かと思ったのだが、その後今度は別の人と中国語で話しているようだった。ただ、中国語が南方訛りに聞こえたのでおそらくは台湾人なのだろう。
 程なくして国賓飯店前に到着。ここから今回泊まる金星大飯店へ向かった。
 手続きが済むと金星大飯店のフロントのおじさんは日本語で話しかけてきた。

「北京語は大丈夫そうだね。」
「(パスポートを見て)大陸には何度も行っているね。」
「大陸は治安よくないよね。スリも多いでしょ?」

 まあ考えてみれば台湾人、しかも彼は普段は台湾語で話していたから本省人が大陸が大嫌いだと言うことは言うまでもないことだろう。結局彼が北京語を話すのを一度も聞くことはなかった。
 安いのでここ(金星大飯店)にしたが、後からアップルワールドの宿泊体験記を見るとろくな事が書いていない。おまけに台湾人の知人は、あのあたりは売春宿があって…などとろくでもない情報も聞いた。それで心配したのだが、結果は…。確かに建物は古くて薄暗い感じだ。ただ、シーツや掃除の状況はきちんとされているし、フロントの服務員も日本語ができる人が多いようだった。自分としては大陸の田舎の安宿にも何度か泊まったことがあるし、気になるほどではなかった。敢えて言えば空調がうるさいのとテレビの音がちょっと変(低音が出ていなくてヘッドホンから漏れて来るような音)だったことくらいか。歯ブラシもあれば、電話も使えるし、冷蔵庫もあった(使わなかったが)。いや、こんなの当たり前だという声が聞こえてきそうだが、大陸ではあたりまえではないのだ。

 まだ寝るにはちょっと早いのであたりをうろつくことに。そして、小吃店があったので蝦入り蒸し餃子を頼んだ。考えてみると、今回の旅行で食事をした店で唯一入り口に扉がある所だった。台湾の庶民的な食堂は大陸と同様、入り口はシャッターがあるだけで、開店時はシャッターを開けるため入り口に何の仕切もない。店名は京鼎小館という店で、日本の雑誌に取り上げられたのか、日本語の紹介記事が壁に貼られていた。またメニューには写真と日本語訳が添えられていた。
 料理が出てくるのを待つ間、今日宴会を開いている香港好きの仲間たちへ携帯で連絡をした。こうしているうちにあつあつの蝦入り餃子が出てきた。


蝦仁蒸餃

 その後さらにぶらぶらしているとチェーン店の御茶屋である天仁茗茶があったので入ってお茶を買った。店員は若い女性だったが、こちらが中国語で話しかけると日本語で返してきた。凍頂烏龍茶150gで400元(1200円)結構な値段だ。彼女が言うには日本人客はとても多いそうだ。
「日本語がうまいね。日本には来たことがあるの?」
と尋ねるとないという。まあ、こうやって店員がいろいろと話しかけてくるのも台湾らしいと言えば台湾らしい。
 この後ホテルに戻り今日は終わり。実は明日何をするかまだ完全には決めていなかったりする。