最近多くの高齢者交通事故が報道されている。多くはアクセルとブレーキの踏み間違いの様に見える。そして、「高齢者はMT車限定にすれば解決するのでは?」という議論も時々目にする。
確かにアクセルとブレーキの踏み間違いに起因する事故ならば、MT車なら起きにくい気もする。クラッチペダルを踏み、ギアをチェンジし、半クラッチorそのままクラッチ接続という操作は込み入っていて、アクセルを踏むだけで加速していくAT車の操作とは比べ物にならないくらい手が込んだ操作が必要だからだ。
一方で私が運転免許を取った平成初頭、当時急速にAT車が普及しつつあった。当時の風潮はAT車の普及で運転者はギアチェンジ操作から開放されるから、安全確認に集中することが出来るようになり、交通事故減少が期待できるという意見があったことを記憶している。
私個人としては、高齢者にMT車を選択させることで、たしかにペダル踏み間違い事故の減少は期待できるかもしれないが、安全確認は疎かになりがちとなり、別の形態の交通事故が増えてしまうのではないかと思う。
実は私の祖父は80歳位まで運転をしていた。亡くなったのが2003年だったので、今生きていれば100歳位だ。祖父はコラムシフトのMT車しか運転できなかったので、最後までコラムシフトのMT車を所有していた。しかし、流石に衰えは隠せず80歳位の頃に物損事故を起こしてしまった。幸い人身事故にはならずに済んだのだが、衰えもあり人身事故を起こしてからでは遅いと公共交通機関もろくにない田舎住まいだったがで運転免許を返上するに至った。MT車だから事故が減るというのはやはりちょっと無理があると思うのだった。