役に立たないがん保険


二人に一人の人が生涯に一回以上がんを罹患する時代。しかし私の父は今まさに3つ目のがんと闘病中。おそらく30年近く大手保険会社のがん保険(CMで誰でも知っている保険会社)と契約しているが、今だ恩恵にあずかっていない。もちろん、契約条件は様々なのだが、癌になったから保険金が下りるとは思わないほうがいい。

1.前立腺がん
父が前立腺がんを発見したのは70代前半。局部進行がんの状態で、転移はなかったが手術で完治は難しい状態だった。こう聞くと余命は…と思うかもしれないが、実は前立腺がんは非常に進行が遅いがんで、これでなんともならないわけはない。父は放射線治療とホルモン療法で対応することになった。これでも、人にもよるが結構粘れるようだ。それでがん保険はどうなったか。手術は実施していないし、放射線治療も1ヶ月半程度通院での治療なのでこちらも下りない。その後はホルモン治療なので、注射と内服。結局がん保険は役には立たなかった。治療費は高額だが、高額医療制度があるので、自己負担の上限は決まっている。なのでべらぼうな自己負担額にはなっていない。

2.大腸がん
大腸内視鏡検査で早期のポリープが見つかったために、内視鏡でそのまま切除し、病理検査したらがんだたというもの。それで終わりで経過観察のみだから、まあがん保険が下りなくても妥当だとは思う。

3.下咽頭がん
飲み込む際に違和感を覚え、内視鏡検査をした所、下咽頭がんと診断が下った。PET検査などいろいろな検査を実施し、転移はしておらず、ステージ2ということだった。治療は抗癌剤治療をまず実施し、その後放射線治療ということに決まった。しかし、難易度が高いがんということで、最初の抗癌剤治療は地元の総合病院(公立で800床を超える大病院)後の放射線治療は、公立のがんセンター(がん専門病院)で実施することにした。

ところがである。前半の放射線治療を行った病院の診断書を保険会社に提出した所、表皮内進生物だから、対象にならないと連絡があった。表皮内新生物とは、表皮のみにがんがある状態で、転移などの恐れが岩めて低い状態のようだ。なぜ保険会社がこのように判断したかよくわからない。最初の総合病院の診断書が不適切なのかもしれないが。。。PET検査や抗癌剤治療をしてからの放射線治療という状況とも符合しない。

がんセンターに転院しているので、現在の主治医の診断書を見て医療保険を支払うかを判断するという事になった。現在のがんセンターの主治医は、この病態ならがん保険の対象になるはずだし、診断書は適切に記載すると話している。

最初の病院の診断書が不適切なのかもしれないが(実は治療の途中で主治医が転籍して、主治医がいない空白期間が生じるという事で不信感があってがんセンターに転院したこともあるし。)、治療やその副作用で大変な時期に医療保険の受給で揉めて、苦労が増すという本末転倒の事態に陥っている。

抗がん剤で髪が抜け落ち、放射線治療の副作用で食事が取れず、流動食をチューブで流し込んでいる父を見て、そしてがん保険まで支払拒絶で交渉となると何とも気の毒だ。

そして、標準治療しかせず、せいぜい差額ベッド代。あとは高額治療で治療費に上限があるのだから、果たしてがん保険が必要だったかも疑うのだった。